●10月の行事

●島尻に伝わる祭祀(し)「パーントゥ」
 泥を塗り付けて厄払いをする平良市島尻に伝わる祭祀(し)「パーントゥ」。キャーンというツル草で全身を覆い、泥を塗りたくった三匹のパーントゥが夕やみの集落内を走り回り、「パーントゥが来たぞー」と逃げ回る子どもたちの歓声で、夜遅くまでにぎわう。

 パーントゥは、「ようかい」や「化け物」という意味の方言で、人や新築の家などに泥を塗り付けることで厄払いし、集落に祝福を授ける異形の神による南島独特の「奇祭」として知られる。一九九三年に国の重要無形文化財に指定された。

 旧暦九月の吉日を選んで行われ、集落の青年三人が怒り、喜び、泣きの三種類の仮面でふんする。初日は午後六時前に集落のはずれにある「ンマリガー」と呼ばれる井戸でキャーンと泥を塗り、仮面とつえを手にしながら集落に現れる。
 三つのサトゥムトゥを訪れながら、集落の人たちや住宅、駐車してある乗用車などありとあらゆるものに泥を塗り厄払い。パーントゥをそわそわと待つ子どもたち。突然現れると、悲鳴のような歓声を上げながら逃げ出し、中には泥を塗られべそをかく子もいて、集落内は毎年興奮した雰囲気に包る。



●西原のユークイ
旧暦九月に行われる宮古島市西原の祭祀(し)ユークイが二日間、集落にある九カ所の御嶽を中心行う。
市史などによると、「ユー」は生命の充実と豊じょう、「クイ」は乞うの意味だとされ、新たな生命を得て、豊じょうを祈願する祭祀。
 数え四十七歳から五十六歳までのニガインマと呼ばれる集落の女性が原則として全員参加する。ニガインマたちは年間四十八種ある集落の神行事を行う。

 初日は午後三時ごろからニガインマたちが大主(ウパルズ)御嶽に入り、集落中の女性たちが見守る中、フミィブタンマと呼ばれる新しく参加した人たちの歓迎と今回で役目を解かれるフィンギョーパーの送別祈願があり、歌と踊りでにぎわう。その後、ニガインマたちだけになりフィンギョーパーを胴上げし、一晩御嶽にこもる。

 翌日は早朝から白装束に着替え"神”になったニガインマたちは、頭に草冠、手にテフサ(手草)を持って大主御嶽をはじめ九つの御嶽で祈願して回る。
 二日間の祈願を終えたフィミブタンマとフィンギョーパーの祝いを盛大に行う。十年の役目を解かれた”卒業生”の祝いはひときわ盛大。